【事例紹介】消防ホースへの焼印・箔押し加工の可能性を徹底検証!

ポリエステル素材への焼印

今回は、お客様からご依頼いただいた消防ホースへの加工検証事例をご紹介いたします。

「消防ホースで小物入れを作成し、消防団名などのロゴを焼印したい」というご要望を受け、試し押しを実施しました。消防ホースは、その外層がポリエステル繊維、内層がゴムという多層構造を持ち、さらに表面には独特の織り目の凹凸があります。

これらの特性が焼印加工にどのような影響を与えるのか、そしてどのような工夫が必要となるのかを、本記事で詳しく解説していきます。

素材への加工のポイント

今回の検証素材である消防ホースは、革や木材とは異なり、非常に特殊な素材です。特に、その織り目の凹凸と多層構造(外層:ポリエステル繊維、内層:ゴム)が、加工の難易度を上げています。

特殊な素材への焼印

平面的な素材であれば均一に圧力をかけやすいのですが、消防ホースの表面は織り目による凹凸が大きく、印面が素材に均一に接触しにくいという課題がありました。また、素材自体が熱によってどのように反応するかも重要な検証ポイントでした。

化学繊維の素材に焼印

さらに、袋状のため押し付け時に印面と素材がしっかりと密着できるように硬さのある金属製のプレートを挟み込こみ、安定した押し付けができるよう工夫しました。

加工の詳細:消防ホースへの焼印

消防ホースへの焼印加工では、電気ごてとホットスタンプの2種類の機材を用いて検証を行いました。

検証1:焼印加工/電気ごて150W(温度調整なし)

使用機材: 150W電気ごて+真鍮製焼印

消防ホースへの焼印

加工結果:
温度が高すぎたため、焼き目が付く前に外皮のポリエステル繊維が溶融・損傷してしまいました。繊維が収縮して凹みはできましたが、文字やロゴの再現性は低く、判読が難しい仕上がりとなりました。

ポリエステルに電気式焼印

加工のポイント・注意点:
消防ホースの外層ポリエステル繊維は熱に弱く、高温での焼印加工は素材の損傷に直結することが分かりました。文字を鮮明に表現することは非常に困難であり、実用的な仕上がりは難しいと判断しました。

検証2:焼印加工/電気ごて150W(温度調節あり)

使用機材: 150W電気ごて+真鍮製焼印+パワーコントローラー

150W半田ごてにパワーコントローラーを使用し、低温にて焼印加工を行った結果、外層の溶融は抑えられましたが、温度が不足するため「焼き目」や「押跡」がほとんど付かず、ロゴ・文字の形を表現することはできませんでした。

検証3:焼印加工/ホットスタンプ(150℃)

使用機材: ホットスタンプ機+真鍮製焼印
検証温度:150℃

消防ホースにホットスタンプで型押し

加工結果:
ホットスタンプを使用し、設定温度150度で加工を試みました。この温度では繊維の溶融を避けられましたが、深くはっきりとした跡をつけることができませんでした。

検証4:焼印加工/ホットスタンプ(160℃)

使用機材: ホットスタンプ機+真鍮製焼印
検証温度:160℃+押し付け5秒

加工結果:
設定温度を160度に上げたところ、ポリエステル繊維の外層が溶け出し、その下の内側ゴム層にまで熱が及び、素材自体が損傷してしまいました。ロゴ形状は確認できましたが、実用的な仕上がりとは言えません。

検証4:焼印加工/ホットスタンプ(170℃)

使用機材: ホットスタンプ機+真鍮製焼印
検証温度:170℃+押し付け2秒

ホットスタンプで消防ホースに焼印

少し温度を上げて短時間(2秒)押し付け条件で加工を試みましたが、ポリエステル繊維の表面は溶けてしまい、さらに裏地(ゴム層)にまで熱の影響が及ぶことが確認されました。短時間の押し付けでも素材の損傷は避けられませんでした。

加工のポイント・注意点:
短時間の押し付けでも消防ホースのポリエステル繊維は熱による影響を受けやすいことが分かり、この素材への焼印加工は、現状の技術では非常に難しいと言わざるを得ません。

加工の詳細:消防ホースへの箔押し

検証1:箔押し加工/ホットスタンプ

使用機材: ホットスタンプ機、ナイロン用箔(ゴールド/シルバー)
検証方法:130–150℃+押し付け3秒

消防ホースへの箔押し加工

加工結果:
ホットスタンプとナイロン用ゴールド箔を使用し、130~150度の温度で3秒間加工を行いました。消防ホースの外皮(ポリエステル繊維)に対し、箔自体は熱で繊維表面に定着しました。

しかし、消防ホース特有の織り目の凹凸が大きいため、箔が均一に密着せず、部分的に剥がれやカスレが生じ、仕上がりにムラが確認されました。

消防ホースにシルバー箔で箔押し

シルバー箔を使用し、同様に130~150度の温度で3秒間加工を行いました。シルバー箔も繊維表面に定着しましたが、織り目の凹凸によるムラやカスレが発生し、均一な仕上がりは得られませんでした。

加工のポイント・注意点
箔押しは焼印に比べて素材への熱ダメージは少ないものの、織り目の凹凸が均一な箔の定着を妨げ、鮮明なロゴ表現は難しく、ムラのない仕上がりは期待できないことが分かりました。

まとめ

消防ホースの外層ポリエステル繊維は、低温では焼印の跡が残らず、高温では溶融・損傷するという特性があり、焼印やホットスタンプによる安定した仕上がりは非常に難しい結果となりました。また、織り目の凹凸や多層構造(外層:ポリエステル、内層:ゴム)が、加工の再現性や均一性に大きく影響し、文字を鮮明に表現することは困難です。

現状の焼印・ホットスタンプ加工では、消防ホースという素材に対して実用的な仕上がりを得ることは難しいという結論に至りました。

 

素材の特性や形状によって加工の難易度は大きく異なり、時には実際に試してみないと分からないことが多々あります。

焼印本舗では、お客様の「こんな素材に加工できるだろうか?」という疑問にお応えするため、無料試し押しサービスをご提供しております。加工の可否や最適な方法についてお悩みの際は、ぜひお気軽にご相談ください。


こちらの記事も合わせてどうぞ


その他の素材 / プラスチック / ホットスタンプ(焼印) / 焼印加工 / 試し押し
焼印や刻印のことならご相談ください
ラインで簡単お問い合わせ
直通電話
ラインで相談
メールで相談
無料モニター