【事例紹介】革製スマホケース・イヤホンケースへの箔押し加工の可能性を徹底検証!

シボのある革への箔押し

この度、お客様より「名入れ、ネーム入りの革製品の販売を検討しており、特にiPhoneケースなどの革製品への箔押し加工の仕上がりを確認したい」というご依頼をいただきました。

今回の試し押しでは、スマホケースやイヤホンケースといった立体的な形状の素材、そして表面にシボ(革の表面に見られる独特の凹凸)のある革への箔押し加工の可能性を、ホットスタンプを使用して検証しました。

表面の凹凸や立体形状は箔押しの難易度を上げる要因であり、圧力・温度・滞留時間(押し付ける時間)などが仕上がりを左右します。

素材への加工のポイント

iPhoneケースやイヤホンケースへの箔押し

今回の検証対象である革製スマホケースやイヤホンケースは、その立体的な形状と表面のシボ風の凹凸が加工の大きなポイントとなりました。

シボ革表面の凹凸への箔の乗り
シボの“凹”には箔が届きにくく、強圧・長時間で埋めようとすると、文字周囲に箔が“べたっ”と広がるリスクが高まります。

袋状・筒状の素材への箔押し治具

袋状素材の下準備(作業台づくり)
イヤホンケースのような袋状の立体物は、押圧時に“たわみ”が出ると、圧力が逃げて定着ムラになります。そこで内側に木材などのたわみを防ぐ補助材を入れ、外側は平滑な下敷きで支えることで、名入れ位置の面を“平面”として保持しました。

加工の詳細(ホットスタンプを使った箔押し)

スマホケースへの箔押し

今回の試し押しでは、ホットスタンプを使用し、紙用箔とナイロン用箔の2種類の箔で検証を行いました。以下に、各加工方法の詳細と結果をご報告いたします。

箔押し加工(iphoneケースベージュ:紙用箔)

・使用機材::ホットスタンプ、真鍮文字(D.S)、紙用箔ゴールド
・検証1:110℃/押圧:弱1秒・強2秒・強め5秒

シボ素材に箔押し

加工結果

ホットスタンプにて110℃で箔押しをした結果、押し付けの強弱にかかわらず箔自体はシボ革に定着しました。しかし、生地表面の凹凸により、凹んでいる部分には箔がのらず、仕上がりにムラが生じました。

シボ革への長めの箔押し

特に、強く長く押し付けた場合(約5秒)は、文字の周囲まで箔がべたっと付いてしまい、シャープさに欠ける結果となりました。

加工のポイント・注意点

ゴールド箔での箔押し

凹凸があるシボ革素材への箔押しでは、箔の定着ムラは避けられない場合があります。そのため、短時間で適切な温度で押し付けることで、余分な部分への箔の付着を抑え、デザインのシャープさを保つことが重要です。

凹みの部分に箔をつけよとして、長時間の押し付けは、箔のべたつきやにじみの原因となるので、最適温度×短時間の押し付けが、シボ革への箔押しのポイントになります。

箔押し加工(iphoneケースベージュ:ナイロン用箔)

・使用機材: ホットスタンプ、真鍮文字(D.S)、ナイロン用箔ゴールド
・検証:130℃/押圧:弱2秒・強2秒

ナイロン用箔での箔押し

加工結果

ナイロン用箔を130℃で箔押しした結果、押し付けの強弱にかかわらず、いずれの場合も箔は定着しませんでした。このことから、今回の革素材にはナイロン用箔は適さないことが判明しました。

加工のポイント・注意点

箔の種類は素材との相性が非常に重要です。ナイロン用箔は、革素材、特に今回のシボのある革には適さないことが分かりました。

箔押し加工(iphoneケース黒:紙用箔)

・使用機材: ホットスタンプ、真鍮文字(D.S)、紙用箔ゴールド
・条件: 110℃/弱め約1秒

黒いiphoneケースへの箔押し

加工結果

スマホケース(黒)への箔押し加工は、設定温度110℃、押し付け弱め、約1秒で行いました。

ベージュ色の同じシボ革素材ですが、製品の色が黒いため、ベージュのサンプルよりも箔の発色がはっきりと見え、仕上がりもより鮮明になりました。シボによるムラは残るものの、黒い素材にゴールドの箔が映え、良好な視認性が得られました。

スマホケースにホットスタンプで箔押し

加工のポイント・注意点

素材の色が濃い場合、箔の色とのコントラストがはっきりするため、シボによるムラが目立ちにくくなる傾向があります。適切な温度と短時間の押し付けで、鮮明な箔押しが可能です。

箔押し加工(イヤホンケース黒:紙用箔)

・使用機材: ホットスタンプ、真鍮文字(D.S)、紙用箔ゴールド、中敷き+簡易治具
・条件: 110℃/弱め約1秒

イヤホンケースへの箔押し

加工結果

イヤホンケース(黒)への箔押し加工では、製品が袋状になっているため、加工時に中敷きを挟み、圧力がかかった際にたわまないように下準備を行いました。

押し付けは弱め、時間は約1秒で行い、スマホケース(黒)と同様に箔はきれいに定着しました。中敷きによる補強が成功の鍵となりました。

イヤホンケースへホットスタンプで箔押し

加工のポイント・注意点

袋状や立体的な素材への加工では、内部に中敷きや簡易治具を挟むことで、加工面を平坦に保ち、均一な圧力をかけることが非常に重要です。

ホットスタンプでの箔押し

これにより、箔の定着不良やムラを防ぎ、美しい仕上がりを実現できます。

まとめ

今回の革製スマホケースおよびイヤホンケースへの箔押し加工の検証を通じて、いくつかの重要な知見が得られました。

ケース表面の凹凸があるシボ革素材では、箔自体は定着するものの、凹んだ部分には箔がのりにくく、仕上がりにムラが生じやすいことが確認されました。

黒いスマホケースにゴールド箔の箔押し

これは素材の特性上避けられない部分もありますが、適切な温度と短時間の押し付けにより、箔のつぶれを抑え、デザインの視認性を最大限に引き出すことが可能です。

次に、イヤホンケースのような立体形状の素材への箔押し加工では、名入れ位置がたわまないよう、木材や金属などの硬さのある中敷きや下敷きを敷くなどの下準備が極めて重要であることが明らかになりました。これにより、印面が素材に均一に接触し、安定した箔押しを実現できます。

また、箔の種類と素材の相性も重要であり、今回の革素材には紙用箔が適している一方で、ナイロン用箔は定着しないことが判明しました。素材の色によって箔の発色や視認性が大きく変わることも、加工結果に影響を与える要素です。


「この素材に箔押しは可能だろうか?」「どんな仕上がりになるのか見てみたい」といった疑問やご要望がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。経験豊富なスタッフがお客様の素材に合わせた最適な加工方法をご提案し、課題解決をサポートいたします。

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