
今回は「桐製の小型木箱の側面右下に、シリアルナンバー(数字)を焼印で入れたい」というご相談を受け、当店のホットスタンプで試し押しを行いました。
木箱は中が空洞で、素材の桐は“焼けやすい”という特性があります。そのため押し付け時間や圧力の管理が仕上がりを大きく左右します。
本記事では、加工可能範囲/適正温度/押し付け時間/圧力のかけ方/位置決めの治具について、試し押し結果をもとにわかりやすく解説させていただきます。
素材への加工のポイント

今回の桐製木箱は、柔らかく焼き目がつきやすい素材であり、さらに箱状で内部に空洞があるという特性を持っています。このため、加工時に過度な圧力をかけると、木材がへこんだり割れたりするリスクがあります。
箱の中に詰め物を入れて受けを作ることで、たわみを抑えて破損リスクを軽減できます(今回の試験は詰め物なしで実施)。

また、シリアルナンバーのような連続した焼印を正確な位置に入れるためには、木箱のサイズや焼き付ける位置が確定した際に、専用の治具を使用することで、安定した位置合わせと焼印加工可能になります。

ただし、ホットスタンプ本体の支柱から焼印をいれられる位置までの距離は約8cmですので、素材の大きさによっては希望に位置の焼印をいれられない場合もあるので注意が必要です。
ホットスタンプとナンバリング焼印を使った加工の詳細

今回の検証に使用する機材
・ホットスタンプ TW350
・真鍮製ナンバリング焼印(縦5mmの数字)
検証1:加工可能範囲の確認

木箱側面の右下は問題なく加工可能。箱サイズが小さいため、右下以外の位置にも焼印を入れられることを確認。ホットスタンプの支柱から、数字や文字などの刻印までの位置は約8センチとなります。
検証2:桐箱への焼印加工(短時間の焼き付け)
使用機材:ホットスタンプTW350/真鍮数字5mm
加工温度:約320℃
押し付け時間:約2秒

焼印条件として、設定温度は約320度、押し付け時間は2秒以内で焼き目がきれいに付きます。圧力については、押し込み時に過度な圧力をかけると、木材がへこんだり割れたりする場合があります。特に柔らかい木材ではご注意ください。
加工のポイント・注意点
桐は焼けやすいので適温×短時間(約2秒)が推奨になります。必要に応じて温度を微調整することで濃淡をコントロールできます。押圧は板のたわみが出ないように注意が必要です。
検証3:桐箱への焼印加工(長時間の焼き付け)
使用機材:ホットスタンプTW350/真鍮数字5mm
加工温度:約320℃
押し付け時間:約10秒

押し付け時間を約10秒とした場合、数字のまわりに焼きにじみが広がり、焼きつぶれたような印象となりました。
加工のポイント・注意点
10秒以上で押し付けた場合、焼きにじみが広がり、焦げが回ってしまうことがあります。焼き目の濃さについては、ホットスタンプの設定温度を調整することで、薄めから濃いめまで仕上がりを変えることが可能です。
押し付け時間は短く、温度調整で焦げ色の濃淡を調整する方法が失敗を少なくすることができます。
まとめ

今回の桐製木箱への焼印加工の検証から、桐は焼き目がつきやすい素材であるため、押し付け時間が長すぎると焼きにじみが発生しやすいことが明らかになりました。
また、木材が柔らかく内部が空洞であるため、過度な圧力はへこみや割れの原因となる可能性があります。
これらの課題に対しては、木箱内部に詰め物を挟むことでたわみを軽減し、専用の治具を使用することで安定した位置に正確な焼印加工が可能となります。
素材や形状によって最適な加工条件は大きく異なります。お客様ご自身で試行錯誤する手間を省き、最適な加工方法を見つけるために、ぜひ当社の無料試し押しサービスをご活用ください。経験豊富なスタッフがお客様の素材に合わせた最適な加工方法をご提案いたします。

























