
「フェルトや天然皮革、人工皮革に、商品名や企業名を型押ししたい」というご依頼をいただきました。
お預かりしたのは、フェルト・天然皮革・人工皮革の3種類の素材。それぞれ色違いで数種類ずつご用意いただき、「うまくいけば色ごとに試してみたい」というご要望でした。
素材の種類が多いだけでなく、色のバリエーションも豊富だったため、今回の試し押しでは「素材の違いによる加工のしやすさ」と「色による仕上がりの見え方の違い」の両方を検証することになりました。
焼印・箔押し・型押しは、同じ素材でも色や質感によって仕上がりの印象が大きく変わることがあります。本記事では、実際の試し押しの様子と結果をもとに、フェルト・天然皮革・人工皮革それぞれへの型押し加工のポイントと注意点をご紹介します。素材選びや加工方法の検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
フェルト・天然皮革・人工皮革への型押し加工のポイント
今回お預かりした素材は、いずれも平らなシート状の試験片です。
袋状の製品や曲面のある製品、金具や縫い代の付いた製品と比べると、ホットスタンプの作業台に水平に置きやすく、真鍮製焼印の印面を素材全体へ当てやすい形状です。

一方で、形状が平らでも素材の硬さや厚み、表面の毛羽立ちやシボ、色によって仕上がりは変わります。
特にフェルトは表面に繊維の毛羽立ちがあり、天然皮革や人工皮革には素材ごとに異なる表面模様があります。そのため、刻印が物理的に入っていても、素材の色や光の当たり方によって見えにくくなる場合があります。
ホットスタンプを使った型押し加工の詳細
今回は、フェルト・天然皮革・人工皮革の3つの素材について、それぞれ150℃と170℃の2つの設定温度で型押し加工を行い、仕上がりを比較しました。押し付け時間はすべて5秒で統一しています。
加工①:フェルトへの型押し加工
使用機材: ホットスタンプ、真鍮製焼印
加工温度: 150℃/170℃(押し付け時間はいずれも5秒)

フェルト生地は、150℃の設定温度でも刻印を入れることができました。
ただし、170℃に設定した方がデザインの輪郭がはっきりと現れ、視認性の高い仕上がりになっています。複数の色で比較しても、150℃より170℃の方が文字やロゴを確認しやすい結果でした。

押し付け時間についても検証しており、2〜3秒程度の短い時間では刻印の入りが弱くなってしまうことが分かりました。フェルトのような繊維素材にしっかりと刻印を定着させるには、5秒程度の押し付け時間を確保することがポイントです。
フェルトは毛羽立ちのある素材のため、短い押し付け時間では熱と圧力が繊維の奥まで伝わりきらず、刻印が浅くなりやすいためだと考えられます。
加工②:天然皮革への型押し
使用機材: ホットスタンプ、真鍮製焼印
加工温度: 150℃/170℃(押し付け時間はいずれも5秒)

天然皮革についても、フェルトと同様の傾向がみられました。150℃の設定では刻印の入りがやや弱く、170℃まで温度を上げることで、より鮮明な刻印に仕上がりました。

天然皮革は、同じ加工条件であっても色によって視認性の差が出やすい素材です。革本来の質感や光の反射の仕方が色ごとに異なるため、刻印そのものはしっかり入っていても、見る角度や光の当たり方によって見え方が変わってきます。
加工③:人工皮革への型押し
使用機材: ホットスタンプ、真鍮製焼印
加工温度: 150℃/170℃(押し付け時間はいずれも5秒)
人工皮革についても刻印はしっかりと入ることが確認できました。こちらもやはり150℃よりも170℃まで温度を上げた方が、刻印の入りがはっきりとする結果となりました。


天然皮革・人工皮革・フェルトの3素材に共通して言えるのは、「温度を上げるほど刻印がくっきり入る」という点です。今回の検証では、いずれの素材も170℃・5秒の設定で、安定して綺麗な型押し加工ができることが分かりました。
色による視認性の違いについて
型押し加工は、焼印のように焦げ目をつけたり、箔押しのように箔の色を乗せたりする加工とは違い、素材そのものの色・凹凸だけで文字やロゴを表現します。そのため、素材の色によって、刻印の見え方(視認性)に差が出てしまう点には注意が必要です。
今回の検証でも、170℃・5秒という同じ条件で加工しても、色によって視認性に違いがみられました。特に黒色の素材は、光の当たり具合によって刻印の凹凸が見えにくくなる傾向が強く出ました。

淡い色や明るい色の素材であれば、凹凸の陰影がはっきりと見えるため視認性が高くなりますが、黒色のように光を吸収しやすい色の場合は、正面から見ると気づきにくいことがあります。
ロゴや文字をはっきり見せたい場合は、素材の色選びも仕上がりのイメージに直結する重要なポイントだと言えます。
まとめ
今回の試し押しでは、フェルト・天然皮革・人工皮革という異なる3つの素材に対して、型押し加工の可否と最適な条件を検証しました。結果をまとめると、次のようになります。
・フェルト・天然皮革・人工皮革のいずれも、170℃・5秒の設定で型押し加工が可能
・150℃では刻印は入るものの、170℃と比べると視認性がやや劣る
・押し付け時間は2〜3秒では刻印の入りが弱く、5秒程度が目安
・素材の色によっては視認性が下がることがあり、特に黒色は光の当たり方で見えにくくなりやすい
このように、同じ「型押し」という加工方法でも、素材の種類や色によって仕上がりの印象や最適な条件は変わってきます。「この素材に加工できるかどうか分からない」「色違いのサンプルでまとめて確認したい」という場合は、実際に試してみるのが一番確実です。

焼印本舗では、ご注文前に無料の試し押しサービスをご利用いただけます。お手持ちの素材への焼印・箔押し・型押し加工の可否や、最適な設定温度・仕上がりのイメージを事前にご確認いただけますので、ぜひお気軽にご相談ください。

























