【事例紹介】プラスチックフィルム製ボックスパウチへの非加熱型押し加工を検証

プラスチックフィルム製ボックスパウチへの刻印

商品のパッケージに賞味期限やロット番号を印字する作業は、製造業において欠かせない工程です。しかし、専用の印字機は導入コストやインクなどのランニングコストがかさむことが課題となる場合があります。

今回ご相談いただいたのは、ペットフードを封入予定のプラスチックフィルム製ボックスパウチへの賞味期限の印字。

フィルム製パウチへの刻印

ランニングコストを抑えるために「熱で溶かしての型押し(凹み)加工」を検討されていましたが、素材がプラスチックフィルムであるため、熱によるフィルムの破損や穴あきを懸念されていました。

そこで、「熱をかけずに刻印する非加熱の型押し加工」が、この素材に適用可能かどうかを検証しました。

加工のポイント

今回お預かりした素材は、総厚124μのプラスチックフィルム製ボックスパウチです。この素材は、アルミ蒸着層を含む多層構造になっており、比較的薄く、柔軟性があります。

このような袋状で柔らかい素材に型押し加工を行う際、最も重要なのは、プレス時の圧力によって素材が破れたり、裏側までダメージが及んだりするのを防ぐことです。

今回の検証では、プレス時の衝撃を吸収し、裏側へのダメージを防ぐために、素材と作業台の間に柔らかいゴムマットを挟んで加工を行いました。この工夫により、素材の形状による加工の難易度を下げ、安定した型押しを実現しました。

ボックスパウチへの加工の詳細

今回の検証では、お客様の懸念を解消するため、熱をかけずに圧力を加える型押し加工のみを実施しました。

非加熱型押し加工の検証

使用機材: ホットスタンプTW350+真鍮活字(数字)
加工温度: 加熱なし(常温)

プラスチックフィルム製パウチへの賞味期限の刻印

検証結果

数字の型押しは明確に入りました。裏側のダメージはゴムマットの使用により防げました。非加熱でも数字線画のエッジが立つ一方、素材は総厚124μの多層(アルミ蒸着層含む)で伸びにくい特性があるため、数字の周囲に軽度の“ひきつれ”や光沢ムラが生じています。

プラスチックパウチへの数字の型押し

加工のポイント・注意点

非加熱の型押し加工は、熱によるフィルムの破損というお客様の懸念をクリアし、賞味期限の数字を刻印することができました。

ゴムマットの活用: 柔らかい素材や袋状の素材の場合、裏側へのダメージを防ぐために、素材と作業台の間にゴムマットを挟むことが非常に有効です。これにより、素材の破れや穴あきを防ぎ、安定した刻印を実現できます。

ひきつれへの注意: 圧力をかけてへこませる型押し加工の特性上、数字のまわりにわずかなひきつれが生じてしまうことが確認されました。これは、フィルムがプレスによって引っ張られるために起こる現象です。実用上問題ないレベルか、事前にご確認いただく必要があります。

ランニングコスト: ホットスタンプのような手動の機材と真鍮文字刻印を使用することで、インクや専用消耗品が不要となり、お客様が望まれていたランニングコストの削減に繋がります。

まとめ

今回のプラスチックフィルム製ボックスパウチへの試し押し検証の結果、熱をかけない非加熱型押し加工によって、賞味期限の数字を明確に刻印できることが確認されました。

レトルトパックへの刻印

お客様の「熱による破損」という懸念は解消されましたが、素材の柔軟性から、プレス時に数字のまわりにひきつれが生じるという課題も明らかになりました。これは、素材の特性や形状によって加工の難易度が異なり、実際に試してみないとわからないことが多いという典型的な事例です。

ランニングコストを抑えたい、特定の素材に加工できるか知りたい、といったお悩みをお持ちの方は、ぜひ当社の無料試し押しサービスをご活用ください。お客様の素材に最適な加工方法と道具をご提案いたします。

 

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