今日の試し押しのご依頼は、製本で使用されている紙素材への箔押し加工になります。いわゆる本の表紙になる紙への加工です。ホットスタンプで名入れ用の真鍮文字とワンポイント小さめのロゴ焼印を使ってテストしていきます!
箔押し加工できる温度になるまで、どれぐらいかかる?
キラキラの箔を温度と圧力で加工をする加工道具のホットスタンプTW350を使って箔押しをしていきます。デジタル表示で温度設定はとても簡単!木や食品にも焼印ができるホットスタンプの最大の温度は350度。
箔押し加工で設定する温度帯は110度から130度と決まっております。 箔に含まれている接着剤が活性化する温度が決まっているからです。電源を入れてスイッチをオンにしてから、120度になるまでを久しぶりに携帯の時計機能で測ってみました。
左が真鍮文字アルファベット、右側にロゴ焼印をセットしているホットスタンプ。よ~いドンでスタートしてから、約5分でおぼ同時に120度に到達しました!
多少の誤差はありましたが、10分以内で箔押し加工をはじめることができます!
本の表紙の素材への箔押し加工 素材について
計4種類の違う紙の素材です。紙クロス、和クロス、板紙、ビニールクロスという種類。板紙以外の紙は、表面がツルっとしています。表面にも少しですが凹凸の模様がかかっています。
箔の種類、紙/革用120度とナイロン用130度を使い分ける必要がありそうです! 実際には、試してみないとわからないことも多く、特に箔押し加工などでは、事前の試し押しで素材と箔の相性を知っておく事が失敗しない導入前のポイントになります。
素材の特徴に合わせて箔を使い分けて加工をしていきます! 表から見ると同じような金色の箔ですが、種類によって裏側の色に違いがあります。左のクリームがかった黄色が紙/革用の箔、右側の箔は裏側が銀色っぽいナイロン用箔です。
はさみでカットしずらい、とても薄い箔のフィルムは、着色層、フィルムのベースの層、接着剤が練りこまれている層など、多重構造になっています。
箔の種類によって、この接着剤が違うため、溶ける設定温度にも違いがあるということです!
本の表紙の素材への箔押し加工 試行錯誤のやり方
箔押し加工の際に、紙や革などでテストをしていくのですが、確かめていくポイントがいくつかありますので、簡単にご紹介させていただきます。 先に書いている通り、箔の種類を確認する事がまず一つ目のチェック項目になります。
最初に試すのが設定温度の低い紙/革用箔の方、次にナイロン用箔という順番です。 次に、下敷きに何を使用するのかということ。下敷きというのは、素材の下に置くもののこと。素材の厚みが薄い紙などでは、下敷きに何を使用するかでかなり箔押し加工の仕上がりに違いが出てしまいます。
今回は、やわらかめのゴムマット→かためのゴムマット→厚紙という3パターンで試しました。
やわらかめのゴムマットと紙用の箔で押した仕上がり
右側の仕上がりが硬いゴムマットで押した仕上がりです。同じく紙用の箔 下敷きに硬さの違うゴムマットを敷いてテストしましたが、やわらか過ぎると紙素材の方へのダメージがひどいのでNG。ここまでで、下敷きは硬めの厚紙に絞られました。そして、もうひとつ、紙クロスの素材には、紙用箔ではうまく定着しないようです。
一番下の箔押し加工の仕上がりはナイロン用箔と下敷きに厚紙を使って押した仕上がり 紙以外の箔押し加工の試し押しでも、おおよそこの流れで試行錯誤を繰り返します。
最後に試すポイントとして重要なものが、押し時間です。押し付けている秒数のことです。今までの経験上、紙素材への箔押しの押し時間は、2秒程度。今回綺麗に仕上がった箔押しの押し時間は1秒でした。
下敷きにやわらかいゴムマットを使用すると裏側にまでダメージがついてしまいます!
試し押しでお預かりする素材は加工のメモをつけてお返しいたします。 試行錯誤を繰り返しますので、ある程度のサイズのサンプルをお願いいたします。簡単な素材の場合は良いのですが、テスト押しを何度も繰り返していると押す場所が・・・
実際に納品後にお客様ご自身で新しい素材に加工をされる場合でも、このように実験した時の爪痕をきっちり残しておくことで、作業効率も上がりますので地道な作業ですが、自分でする加工ではとても重要なことです!
本の表紙の素材への箔押し加工 和クロス
先に試した失敗を活かすことで次の素材ではさっきよりも時短で加工ができるようになります。似ている素材なので、おおよその見当がつきやすいためです。こちらの素材も表面がツルっとしているので定着しやすい箔はナイロン用箔のようです!
ついでに、白と黒の顔料箔でもテストしました。以外に綺麗に入ります。 顔料箔の白と黒は、とても綺麗に入っていますが、それだけではテストになりません。
箔押し加工をした後に、手やテープなどでしっかりと定着しているかも試していきいます。完全にはがれることは無いのですが、白と黒の箔はナイロン用ではないので、少し薄くなってしまいますね。定着テストは、最後まできっちりと確認していきましょう! お客様に納品後に、すぐ剝がれてしまっては大変な事になりますので!!
これも箔押し加工でよくあるお問い合わせなのですが、箔押し加工をした後の耐久性について。熱と圧力でロゴや文字などを箔でプリントする箔押し加工ですが、摩耗には強くありません。経年劣化してしまうというよりかは擦れてしまうと薄くなります。
革小物など、製品の外側に箔押し加工をされる場合には、耐久性を上げるためにトップコートとよばれるような別の加工も必要になります。 トップコートなどのカバーをされても、箔は永久にきれいなままではないということも、頭に入れておいてください!
本の表紙の素材への箔押し加工 板紙
次に、一番普通の紙の手触りに近い素材の板紙に箔押し加工。こちらは、予想されます。通り紙用の箔できれいに定着しました。下敷きは、硬めのモノ、厚紙を敷いて加工しています。
隙間が狭い箇所には箔がのこってしまいます、やわらかいブラシなどで取り除くことができます!
本の表紙の素材への箔押し加工 ビニールクロス
素材の名前のように、こちらはナイロン系素材なのでナイロン用箔をつかいました。
押し時間は約1秒と短めの方が綺麗に仕上がります!
試し押し完了!サンプルはお客様にお返しいたします
試し押し終了の素材はメモをつけてお客様にご返送させていただきます。
無料試し押しが当店のサービスで一番ご利用いただいております! ただほど怖いモノはない!と世間ではよく言われていますが、焼印本舗の無料試し押しには、この言葉は当てはまりません。試し押しをご利用いただいたからといって、ご購入する義務などは一切ございません。
仕上がりをお手元で確認していただくためにあるサービスなので、サンプル到着後に、ご検討いただくひとつの手段としてご利用いただければ幸いです。 おそらくですが、メールでのご報告はさせていただきますが、それ以上こちらからお電話などでのご案内などしておりませんのであしからず。別に忘れているわけではございませんのでご心配なく!
ガッツリ試し押しすると机がすぐにこんな状態に・・・ 試し押しが終わるといつもこの状態、夢中になって加工していると道具が散乱してしまいます。この直後に片づければいいだけなのですが、少し余韻に浸るのと、お客様へのメールでのご一報とこの現場から離れてしまうと、お片付けは後回しになってしまいます。